InsilicoとEli Lilly、27.5億ドルのAI創薬提携を締結
2026年3月30日 (月)
- •Insilico MedicineがEli Lillyと、最大27.5億ドル規模の商業化提携を締結した。
- •Eli Lillyは、Insilico MedicineがAIで発見した前臨床段階の経口治療薬候補の開発・製造権を獲得した。
- •1億1500万ドルの契約一時金に加え、進捗に応じた数十億ドルの成功報酬が支払われる。
創薬ベンチャーのInsilico Medicineは、製薬大手Eli Lillyとの間で最大27.5億ドルに及ぶ大規模な提携を発表し、ジェネレーティブ・バイオロジー(生成生物学)分野での主導権を確固たるものにした。本提携の核心は、AIを活用して発見された前臨床段階の創薬候補、特に代謝性疾患を対象とした経口治療薬の商業化にある。具体的な資産の詳細は非公開だが、同社のパイプラインの最新動向は、既存のヒット薬と同様のメカニズムを持つ「GLP-1受容体」を標的とした有望な候補物質が含まれていることを示唆している。
契約の構造を見ると、1億1500万ドルという高額な一時金が設定されており、AI主導のパイプラインに対する大手製薬企業の信頼がかつてないほど高まっていることがうかがえる。残りの数十億ドルは、規制当局の承認や商業化の進捗に応じて支払われる「バイオバックス」形式だ。このリスク共有モデルの採用により、伝統的な製薬会社は、初期探索段階の膨大なコストとリスクを抑えつつ、最先端の計算プラットフォームを自社の戦略に組み込むことが可能となった。
Insilico MedicineのCEOを務めるアレックス・ザボロンコフ(Alex Zhavoronkov)は、代謝領域における業界屈指の専門知見を活かし、AIが生み出した分子を迅速に市場へ送り出す重要性を強調した。新規の化学構造を特定するInsilico Medicineの高度な技術と、Eli Lillyが誇る巨大な製造・治験インフラが融合した今回の提携は、AIがもはや補助的なツールではなく、次世代創薬の主要なエンジンであることを鮮明に示している。