マサチューセッツ工科大学の研究者がAIで次世代原子炉設計を加速
2026年4月3日 (金)
- •ディーン・プライス(Dean Price)が原子炉設計シミュレーションにAIを統合
- •複雑な非線形方程式をAIで代替し、計算負荷を大幅に軽減
- •柔軟性の高い小型モジュール式原子炉の開発を後押しする
持続可能なカーボンフリーエネルギーへの転換が急務となる中、原子力発電が再び脚光を浴びている。しかし、高度な原子炉の設計には極めて高い計算能力が必要であり、それが開発の大きな障壁となっていた。
マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)の教授であるディーン・プライス(Dean Price)は、この課題に対してAIを導入した。従来の設計では、炉心内の粒子や熱エネルギーの相互作用を解き明かすために、複雑な非線形微分方程式を扱う必要があり、スーパーコンピュータによる膨大な計算が不可欠だった。
そこでプライスは、マルチフィジックスモデリングにおける計算のボトルネックを解消しようと試みている。膨大なデータを機械学習モデルに学習させることで、温度分布や核分裂の推移といった原子炉の挙動を、方程式を個別に解くことなく予測する手法だ。このアプローチは計算負荷を劇的に減らし、安全性と柔軟性に優れた小型モジュール式原子炉の実用化を加速させる可能性を秘めている。
プライスはAIを従来の厳格な安全基準に代わるものではなく、設計プロセスを補完し知識の空白を埋めるツールとして位置付けている。データサイエンスと核物理学の融合は、原子力の複雑なメカニズムをより速く、よりアクセスしやすいエンジニアリングへと変革する新たなフロンティアである。